顔認証とは?基本の仕組み・種類・精度を解説 〜「基本のキ」シリーズ①〜
- erikaitagaki
- 8月19日
- 読了時間: 7分
更新日:11月4日

近年、スマートフォンのロック解除やオフィスの入退室管理など、日常のさまざまな場面で「顔認証技術」が活用されています。
本記事では、その基本となる仕組みや種類、精度について、できるだけわかりやすく解説します。
1.顔認証の仕組み
顔認証とは、人物の顔画像から特徴量(顔の特徴を細かく読み取り数値化したもの)を抽出し、特徴量同士を比較し類似度を計算することで、統計的に「本人である可能性が高いかどうか」を判断する技術です。
顔認証の一般的な流れ

・顔検出(Face Detection)
画像の中から「顔」の部分を見つけ出します。
・画像の補正(アライメント)
認証が行いやすいように顔画像の回転・補正を行います。
・特徴量抽出
顔画像から目や鼻、口、輪郭などの無数の特徴点(座標)を認識します。 無数の点と点同士の位置関係はベクトル的に計算され、数値の集まり(配列)として生成されます。これが特徴量です。特徴量はセキュリティの観点や扱いやすいデータにする観点から、通常、暗号化やデータ変換の手順を経て英数字の文字列として保管されます。
特徴点や特徴量を生成するのは顔認証モデルですが、このモデルが顔認証技術のコア部分です。各モデルには「くせ」や「強み」があり、同じ画像を使用しても異なるモデルで抽出した特徴量は異なる結果になります。
・照合(マッチング)
抽出された特徴量同士をベクトル的に計算し、「どれだけ距離が近いか(類似度)」を計算します。予め設定された閾値*を上回り、かつ最も類似度の高い特徴量について同一人物であると判断されます。 *閾値:その値より類似度が低い場合本人ではないと判断する値
2.顔認証の種類
顔認証には、用途やシステム構成に応じてさまざまな方式があります。ここでは代表的な分類である「1:1認証と1:N認証」および「エッジ認証とサーバ認証」について解説します。
1:1認証と1:N認証

・1:1認証
登録された1人と照合対象の1人を比較する認証方法です。
スマートフォンのログイン、空港の顔認証ゲート、本人確認(eKYC)などの用途に利用されています。
例えば、提示されている身分証明書上の顔の特徴量と、提示している人物の顔の特徴量を比較し、同一人物であるか判断します。
比較する相手が1人に限定されているため、比較的コンパクトな顔認証モデルでも、高速かつ高精度な認証が可能です。
・1:N認証
多数の中から1人を検索する認証方法です。
オフィスエントランスでの入退室システムや店舗や施設での会員認証・受付、ブラックリストの不審者検知などで利用される手法です。
カードや身分証不要で、利用者にとっては完全なハンズフリー認証が可能な利便性の高い方式である一方で、高度な精度の求められる登録人数が多いほど照合に時間がかかり、精度の調整も重要になります。
エッジ認証とサーバ認証

顔認証システムのシステム構成において、どこで認証を行うかについて、おおまかに「エッジ認証(端末認証)」と「サーバ認証」の2つの方式があります。
・エッジ認証
認証処理をカメラ付きタブレット端末などの端末内(エッジ側)のソフトウェアで完結させる方式です。ネットワークに頼らず現場で認証が完了するため、高速で安定した認証が可能です。
一方で、端末はスマートでコンパクトなものが好まれることが多く、その計算力や記憶容量には限りがあります。そのため大規模な顔認証モデルの利用は難しく、また1台で認証できる人数は端末のスペックに依存します。
・サーバ認証
認証処理をサーバ側で行う方式です。カメラ付き端末で撮影された顔データはネットワーク経由で送信され、サーバ側のソフトウェアで照合されます。サーバはクラウドのケースとオンプレミスのケースがあります。
サーバ認証ではより大規模な顔認証モデルの利用が可能となり、更に高精度な認証に対応可能です。サーバのスペックを上げることにより、より多くの登録人数に対応可能となるため拡張性も高く、中〜大規模システムに適した構成です。
ただしネットワーク環境により、遅延や通信状況の影響を受けやすいという課題があります。
3.閾値とは
顔認証システムにおける閾値とは、設定した値より類似度が低い場合、本人ではないと判断する値です。
閾値の設定値はセキュリティと利便性に影響があります。
そのため、閾値が設定できる顔認証システムであれば、利用シーンに合わせて適切に閾値を設定することが非常に重要です。

セキュリティと利便性はどちらも重要な要素ですが、セキュリティをより重視したい場合には閾値を高く設定し、利便性を重視したい場合には閾値を少しだけ下げて設定するのも手でしょう。
4.顔認証の精度とは
顔認証の精度は日進月歩に上昇しており、 認証精度99.9%など、非常に高い精度の顔認証システムも多くなっています。
しかし、分かりやすく極端な例を挙げると、1回の認証テストで1回成功すれば精度100%ということすら可能です。
実際には顔認証精度を計る上で重要な指標は複数あり、かつ1つの指標が突出していれば良いというものではなく、バランスして高いレベルにあって初めて良い顔認証モデルと言えます。
正確な認証精度を知るためには、その認証精度が何を指し、かつ他の指標はどのような結果になっているのか、確認することが重要です。ここで顔認証精度を示す指標を紹介します。
顔認証の重要指標
・他人受入率(FAR = False Acceptance Rate)
他人であるユーザーをシステムが誤って本人と判断し、認証OKとしてしまう確率を表す指標です。
低いほど良く、セキュリティが高くなります。
閾値を上げると低くなります。
・本人拒否率(FRR = False Rejection Rate)
本人をシステムが誤って他人と判断し、認証NGとしてしまう確率を表す指標です。
低いほど良く、利便性が高くなります。
閾値を下げると低くなります。
顔認証技術の性質としては、他人受入率と本人拒否率はトレードオフの値となっていて、閾値を上げると他人受入率が下がる一方で本人拒否率が上がり、反対に閾値を下げると本人拒否率が下がる一方で他人受入率が上がってしまうものです。
ただ、他人受入率が高いとセキュリティシステムとして意味がなく、本人拒否率が高いと実運用に適しません。セキュリティと利便性を両立させることが重要なため、高い閾値設定で限りなく低い他人受入率でありながら、本人拒否率が上がらない顔認証モデルが良いモデルと言えるでしょう。
5.ナブラワークスの顔認証技術の特徴
当社の顔認証技術は、悪条件下であっても精度高く認証ができることが特徴です。
正面から撮影され、目・鼻・口がくっきりと写った、画質の良い、例えて言うならば証明写真のような顔画像を用いて精度高く認証ができることは当然ですが、
現実では、顔認証にとっては悪条件となる様々な状況が起こり得ます。
例)顔認証にとっては悪条件となる様々な状況

ナブラワークスの顔認証システムでは、顔を登録する際、ある角度から撮影した顔写真から、顔の見えていない部分まで推定して特徴量化するということを行なっています。
もちろん、顔写真はあらゆる角度からの複数枚を登録する必要はありません。
正面からの1枚のみ登録しておくだけでOKです。
これにより、悪条件下でも変わらず便利に顔認証システムをご利用いただくことが可能となっています。
6.ナブラワークスの顔認証ソリューション
当社では顔認証を活用した入退館ソリューションや、受付ソリューションをはじめ、お客様のシステムに顔認証を組み込みいただける各種ソフトウェア・クラウドサービスまで、さまざまな顔認証ソリューションをご用意しています。
ぜひ当社の顔認証ソリューションの便利さ・精度の高さをご体感ください!

